「五十日」は「ごとおび」「ゴトー日」とも言い、5の倍数となる日付のことをいいます。
ゴトー日は、早朝から仲値決め(※)の9時55分にかけてドル買いが発生し円安ドル高になりやすくなるのが特徴です。これは日本特有の商習慣で海外にこれに類似したものはないようです。
※仲値・・・金融機関がその日の顧客との為替取引に基準として使用するレート
なぜ五十日は仲値決めに向けて円安ドル高になりやすいのか、トレードの優位性は期待できるか
日本では昔から企業間の支払締日が五十日に当たるケースが多く決済処理が多くなるためです。それ以外にも会社員の給与支払いや取引期日決済なども五十日になっていることが多いです。その慣習は海外との決済処理にも当てはまり五十日に集中しています。よって外貨需要が高まり国際的な決済に一番利用されている基軸通貨の米ドルが買われやすくなるためです。このように日本特有の慣習である五十日は海外での認知が少なく日本時間のトレードに当たっては優位な立ち回りが出来る可能性があります。
(余談ですが五十日の起源は京都の赤山禅院の五日講にあると言われています)
どういう仕組みで五十日は早朝から仲値決め9時55分に向けて円安ドル高に進みやすいのでしょうか?
それでは仲値を使った金融機関のその日の取引に注目してみましょう。日本の各金融機関は仲値が10時に公開された後に向けてその日の外貨決済注文に対応できるよう米ドルを事前に買っておく必要があります。よって
1.仲値決め時間の前に銀行がドルを大量に買う 2.ドルが値上がりする 3.仲値が決まる 4.その日の銀行と企業取引のドル送金が行われる 5.1で買ったドル価格と3で決まった仲値の差がその日の銀行の利益になる
という流れです。
つまり外貨での決済取引が集中する営業日は銀行に仲値をドル高に誘導するインセンティブがあることになります。よって
仲値をドル高に銀行が誘導するインセンティブ + 五十日による外貨決済需要の増加
と実需要因によるトレードの優位性があると考えられます。
金曜日はさらに優位性がある!?
企業は期日に決済を行うにあたり週末日が期日該当であった場合前倒し営業日で決済取引を行うのが一般的な商習慣です。よって
仲値をドル高に銀行が誘導するインセンティブ + 五十日による外貨決済需要の増加 + 金曜の前倒しを含めた決済の取引集中
この3つの実需要因からトレードの優位性を持っていることになります。
参考記事(JAFEE Journal)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jafee/19/0/19_57/_html/-char/en
参考記事(ザイFX!)
「仲値トレード」って本当に儲かるの?(2)相場観一切無視で勝率7割超の手法発見!?
優位性が期待できる通貨ペアは?
国際的な決済に使われている主要法定通貨なら実需があり優位性があると考えられます。米ドルはもちろんのこと、外為市場取引額のシェア上位であれば優位性があると思われます。国際通貨研レポートによると2022年は上位からUSD44.2%、EUR15.3%、(JPY8.3%)、GBP6.5%と続きます。
参考レポート(国際通貨研レポート2022.10.31)
https://www.iima.or.jp/docs/newsletter/2022/nl2022.27r.pdf
よってUSDJPY、EURJPY、GBPJPYの3つの通貨ペアに優位性があるとみてトレード手法を構築するのは筋が良さそうです。
手前味噌ながら私の作成したEA(GOTO-anomaly)もこの優位性を利用したものです。通常、普通のEAはインジケータサインなどで行う自動売買なので長期間勝ち続けることが困難ですが五十日という実需の慣習による優位性を利用したEAなので長期的運用に耐え得るものになっているのだと思います。
ということで今回は五十日の紹介とそのトレードの優位性について考察しました。皆さんのトレードの参考になれば幸いです、ではまた。